クールな社長の耽溺ジェラシー


そのあとは少し遅くなったけれど、予定していた水族館へ向かった。閉館一時間前に入るとわりと空いていて、ずっと手をつないだまま空飛ぶペンギンなどを見て回った。

「ここ、大橋さんが設計したんでしょ? ファンタジックな感じでかわいいね」

入り口をカラフルに彩り、外観には水中で泳いでいるかのような魚を模したライトを飾っている。童話の世界への入り口みたいだ。

さらに階段もLEDライトで光らせ、館内も幻想的に淡く照らされている。それも魚や見る人の邪魔にならないようにきちんと配慮されていた。

「大橋もだいぶ悩んでたけどな。ちょっとアドバイスしたら、いいものになった」

そのときのことを思いだしているのか、魚を見ながら懐かしそうに瞳を細めた。今は、部下の成長を喜ぶ社長の顔をしている。

その顔を見上げていると、私の視線に気づいた夕がこちらを向いた。もう、社長の顔から彼氏の顔になっている。どちらも私の好きな夕だ。

「魚、見ないのか?」
「見るよ」

そう言って大きな水槽を向けれど、夕とガラス越しに目が合う。ふたりとも全然魚を見ていなくて、お互いに笑い合った。

短い時間でも水族館を楽しむと、夕はお詫びとばかりに近くにあった高級ホテルの最上階の部屋へ連れて行ってくれた。


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