クールな社長の耽溺ジェラシー
「暑いし、ちょっと休憩しないか?」
「あ、はい」
現場を歩き回っていたこともあり、ちょうど疲れを感じていたところだった。
近くにカフェがあったのでそこへ入ると、お昼のピークをすぎた店内は空いていて、すぐに席へ案内してもらえた。
「はぁ……おいしい……」
注文したミルクティーを喉へ流し込むと、強い日差しでオーバーヒート気味だった体が落ち着きを取り戻した。
「さっきのデータ、あとで送ってくれ。あ、写真は適当なやつだけ頼む」
「う……わ、わかりました」
街中のライトアップは夜だけでも、建物の中は昼間も照らすので、さっきは下見をしながら周辺の建物の状況や太陽の位置、明るさなどを調べていた。写真はちょっと撮りすぎたけれど。
「仕事の話はもうヤメだな。休むときは休んだほうがいい」
そう言って、新野さんは疲れを解すように首を回した。
……休憩中のいまなら正司さんとの関係を聞いてもいいだろうか。
目の前の席でアイスコーヒーを飲んでいる新野さんをちらりと見ると、グラスを手に、ストローを咥えてごくごくと喉仏を上下させていた。男らしくて不覚にも胸がドキリとする。
いやいや、これは男性に慣れてないせいだ。
「どうした?」
視線に気づいた新野さんがじっと私を見る。
「い、いえ」
あ、正司さんのことを訊くチャンスかも――と思ったけれど。
「か、影が……」
「影?」
「新野さんに、いい感じにライトが当たって……影がきれいだなって」
もごもごと口ごもらせながら気を紛らわせた。やっぱり訊けない。触れちゃいけない気がする。それに鼓動に邪魔されて、言葉が出てこない。