クールな社長の耽溺ジェラシー
「ま、眩しいんですけどっ」
「悪い。どういう顔してるのか気になって」
顔をしかめながら新野さんを見ると、懐中電灯で私を照らしていた。
「ど、どういうって……」
「赤くなってる。照れてるのか?」
たずねながら、手を伸ばして私の頬に触れる。
「っ、ち、違っ……暑いっていうか……」
「また熱くなったな。風邪でも引いてるのか?」
私をからかっているのか、それとも本当に心配してくれているのか。
頬に触れた親指で体温を確かめるようにさするから、また熱があがってしまう。
「……新野さんが離れてくれたら平熱に戻ると思います」
「そうか?」
不思議そうに首を傾げて私の顔を覗き込む。新野さんはやっぱり私から離れようとしなかった。
そうこうしていると、鼓動に呼応するかのように雨足が強くなりはじめた。真っ暗な空に稲妻が走り、地面を割りそうなほどの雷が響く。
「きゃっ……」
思わず肩を縮こまらせると、新野さんに手を取られる。なにか言ってくれているらしいけれど、雨音が尋常じゃないくらい耳に響いて聞き取れない。
ヘッドライトが届くほどの距離に停めていた車まで走ると、乗り込んだときにはびしょ濡れになっていた。
「す、すみません……車が……」
「いい。現場でも泥まみれで乗ることもあるし。それより、頭」
「わっ……」
車に積み込んでいたらしい真新しいタオルが頭に被せられた。