クールな社長の耽溺ジェラシー
「あの……もういいんじゃないですか? いなくなりましたよ」
軽く胸板を押したけれど、新野さんの腕はがっちりと私を囲いこんでいて、なかなか離れてくれない。
「新野さん、あの……」
「好きだ」
「えっ?」
一瞬、なにを言われているのかわからなくて目を瞬かせる。
好き? なにを? 誰を? 頭がついていかない。
「小夏が好きだ」
「わ、私!? ま、待ってください。なんで急にそんな……」
追い討ちをかけられ、目が回りそうだった。
「急に、っていうわけじゃない。会ったときから照明に熱心な小夏が気になって……ま、そこからは小夏のまっすぐなところに惹かれたかな」
「惹かれたって……」
もっと思いの丈をぶつけて告白されるならともかく、プレゼンするみたいに淡々と理由を話されても実感が湧かない。
そもそも、新野さんと私じゃ元々の住む世界が違う。唯一の共通点である“照明”を通じて、世界が繋がっただけだ。
「そんなこと言われても、信じられません……」
それでも女性として告白されたことは、嬉しい。
しかも、正司さんの次に憧れていた新野さんから……なんて。そんなことを思っていると、目の前が急に眩しくなった。