クールな社長の耽溺ジェラシー
「ライトでも見ていけばいい。ここだけじゃなくて寝室にもあるけど。どうする?」
「けっ、結構です!」
声を裏返らせていると、新野さんはクックッと肩を揺らした。
「……い、いまのはからかいましたね?」
「悪い。けど、本当にあることはあるんだ。……まぁ、今日はやめておくか」
「今日は、って」
どこまで本気か冗談かわからないけど、私も気が抜けて笑ってしまった。
「次はどんな建物の照明をするんですか?」
「会社自体はいろいろやってるけど、俺が担当するのは橋のライトアップか。入札になるからわからないけどな」
「橋……それって、閂建設も参加する……」
「ああ、たぶん争うことになる」
静かにうなずくとペットボトルを煽った。
橋のライトアップは閂建設も入札に参加を決めている案件だった。元々、橋を設計したのが閂建設なのでうちが有利と言われて、他社もあんまり意欲的ではない。
「俺の会社は規模だけ見たら小さいけど、実績がそれなりにあったから参加資格がもらえたんだ」
それなりは謙遜だ。かなり大きな実績ばかりがあり、参加資格を充分に満たしている。
「新野さんが相手じゃ、正司さんも大変かな……」
つい先日、笹部さんからリーダーを振られて渋い顔をしていた。あれは新野さんがいることを知っていたからかもしれない。
「そっちは正司さんか」
「はい、広瀬さんもいますよ。楽しみにしてました」
私も携わりたいと思っていたけれど、ほかの仕事の関係で難しく、泣く泣く諦めた。やりたい仕事が溢れているのに、すべて担当できないのはもどかしい。
「私もなにか面白いもの、やりたいです。この前もダメだったし……」
広瀬さんと争った設計を思い出し、肩を落とした。頭によぎるのは、やりきって結果に不満がない私より、やたらと元気がなかった正司さんだった。