クールな社長の耽溺ジェラシー
「でも……どうして見せてくれるんですか?」
「気まぐれだ。見ないなら片づける」
「いえ、見ます!」
パソコンを閉じようとしたので、慌ててその手を止めて覗きこんだ。
「すごい……」
建物の図面なのに、見たこともない夢の地図を広げているみたいでマウスを握る手が震え、胸が躍りだす。
アイデアが記されたメモは面白く、私には理解できないところもあって、新野さんの頭の中が見てみたいと思った。
「あれ……美術館?」
何枚もある夢の地図を見ていると、ある一枚の図面に目が止まった。
「新野さんも美術館を担当したんですか? どこの美術館……」
興奮気味に次から次へと図面を見ていたので、タイトルの確認を忘れていた。
ちゃんと見ようと視線をあげたら、新野さんが素早く私のマウスを奪って画面を閉じてしまった。
「え、な、なんでですか?」
「ひどい設計だから見ないほうがいい」
いつもはまっすぐに私を見つめる目が、ふいとそらされた。よほど恥ずかしい図面なのか。
「そういうのこそ面白いんですよ」
それに雲の上だと思っていた人を身近に感じられるのは励みになる。たぶん、いまの私はすごく人の悪い笑みを浮かべているだろう。
「あっ、小夏……」
「いいじゃないですか」
新野さんの隙をついて、マウスを奪うともう一度画面を表示させた。
ひどいと言った照明の設計はどの作品よりも精巧で、照明だけではなく自然の光を取り入れようとしているデザインはとても美しく、図面を見るだけで神聖な空間が想像できた。
でも、ここはまるで――。