クールな社長の耽溺ジェラシー
「本当ですか!? ありがとうございます!」
まだ自分には手に負えない案件かと思い、ダメもとで提出したものだった。それを褒めてもらえるなんて嬉しい。
「あの案、僕にちょうだい?」
「えっ……」
時が止まったように、呆然と正司さんを見た。いま、なんて言ったんだろう。思考がついていかない。
ちょうだいって、あげられるものじゃない。
あれには私が考え抜いた時間も、苦しんだ思いも全部が詰まっている。それは私だけのものだ。
「冗談だよ」
軽くそう言って車を発進させる。
「じょ、冗談……ですか、は、はは……」
頬を引き攣らせながら笑った。冗談に捕らえられないのは昨日彼の過去を知ったからだけじゃない、目が本気だったからだ。
車は商業施設と国道をつなぐ、舗装されたばかりの道路をゆっくり走る。
「高塔さんはいいセンスしてるよ。……なんて、僕を慕ってくれているからっていう欲目も入ってるかもしれないけど」
正司さんは軽やかなハンドルさばきで国道に出ると、アクセルを踏んでスピードをあげた。
前の私なら褒められたら飛び跳ねて喜んだし、正司さん自身から『僕を慕ってくれている』なんて言葉を聞いても笑顔でうなずいただろう。
だけど、もう誰に憧れているのかわからなくなってきた。
「昼間も目立ってるね」