クールな社長の耽溺ジェラシー


スピードをゆるめ、信号で停まった正司さんが私越しに助手席の窓から外を見る。

その視線の先には新野さんが照明を設計した商業施設のカラフルな建物があった。

ふいに新野さんの言葉を思い出す。

『小夏の一番になる』

思い出せば、心の奥に呼びかけるような瞳と力強い声もセットでよみがえってきた。

「いやな感じだな」
「いや、ですか?」
「ああ、ごめん……僕たちが設計したスタジアムが目立たないでしょ? そういう意味」

信号が青になると、正司さんは再びアクセルを踏んだ。さきほどよりも速いスピードで景色が流れていく。新野さんが携わった施設はすぐに見えなくなった。

「私の、一番……」

正司さんという目標を見失ったいま、新野さんの言葉が心強い。目指すものがあれば、どこまででも走れる気がする。

新野さんはどういう意味で言ってくれたんだろう。それで、私はどうしたいんだろう。

でもたしかにいま、支えてくれているのは新野さんだった。

「なにか言った?」
「いえ、なんでもありません」
「そう? 顔赤いね、暑かったかな」

私を横目で見ると、クーラーの温度を下げてくれる。

「え、赤い……?」

頬に触れてみると、やけどしそうなほど熱くなっていた。


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