クールな社長の耽溺ジェラシー
設計部へ戻ると、オフィスのみんながなぜか正司さんに駆け寄ってきた。
「正司さん、おめでとうございます!」
「お父様、すごいですね」
次々にお祝いを述べてくる同僚たちに、正司さんはあっという間に囲まれてしまい、私はその輪から弾かれた。
お父様? おめでとうございます? 朝からネットニュースを見る暇もなかったので、なんおことか私にはさっぱりわからない。
「ありがとう。でも、僕が獲ったわけじゃないから。お祝いされても困るなぁ」
人と人の間から正司さんの様子をうかがうと、円の中心で気まずそうに苦笑を浮かべていた。
「あっ、正司さ……」
今にも円の中で消えてしまいそうな正司さんを見ていると、どうにか助けだしてあげたくなる。
嘘の用事でも言おうかと考えていると、隣に広瀬さんがやってきた。
「海外で活躍してる正司さんの親父さんが、国を代表するイベントのライトアップのメンバーに選ばれたらしいよ」
「え、ライトアップ……?」
正司さんのお父さんとライトアップが結びつかない。聞き慣れているはずなのに、初めて聞いた言葉みたいだった。
「こなっちゃん、知らないの? 正司さんのお父さん、海外で照明デザイナーしてるんだよ」
「うそっ……知りませんでした……」
言われてみれば、いろんな人の作品を雑誌などで見ているときに憧れの正司さんと同じ苗字の人がいるな、と思ったことはあった。