クールな社長の耽溺ジェラシー
それでもデザインが違いすぎるし、そもそも正司さんのデザインを好きになってこの業界に入ったので彼の血の繋がりなんて気にならず、考えたことがなかった。
「まぁ、随分活動してなかったみたいだけど。すげぇよな、復帰してすぐに国を代表するものに関われるなんてさ」
広瀬さんは正司さんを囲んでいる輪には加わらず、席へ戻っていく。私もそのあとに続いた。
「じゃあ、正司さんは……お父様と同じ道を進まれたんですね」
席へ着き、荷物もおかずに立ち止まる。広瀬さんはイスにどっかりと腰を下ろすと、考え込むように腕を組んだ。
「だなー。プレッシャー、半端なかったんじゃね? 俺なら絶対そんな道、進まねぇわ」
理解できないと首を振ると、パソコンで仕事をはじめた。
私もやっと荷物を置き、パソコンを立ちあげて報告書の準備をはじめる。
「そういや、橋のライトアップ……正司さん、断るらしいよ?」
「えっ、断るって……リーダーをやめるんじゃなくて、担当すること自体を?」
「そうみたい。リーダーで成功させれば出世できるっていうのに、もったいねぇよな。昔はもっと上を目指してる感
じしたんだけど……どうしたんだろうな」
広瀬さんは不満そうに唇を尖らせながらも、仕事の手を進めていた。
たしかに昔は担当を任されたら、最後までやり通していたし、大きな案件を率先してやっていたように思う。
それなのに近頃はその勢いがない。
心配していると、やっと同僚の輪から解放されたのか正司さんが廊下へ出て行くのが見えた。