クールな社長の耽溺ジェラシー
正司さんを追って廊下へ出ると、彼はひと気のない休憩室へ入っていった。
ドアの一部分がガラスになったところから中を覗くと、ソファに座り、背もたれにくったりと体を預けている。
お腹の上で両手を組み、天井を見上げてため息を吐きだしている姿は、いままで見てきたどんな姿よりも疲れているみたいだった。
ドアを開けようとして、手が止まる。
正司さんには“影を見ろ”と教えてもらった。照明には影が大事だから、と。
いまのこの正司さんも、正司さんの影だ。
表には決して見せず、プレッシャーと戦っていままでやってきた。上を目指したけれどうまくいかず、そのつらさから新野さんの作品を――。
でも、どんな理由があっても認められない。
疲れ切った憧れの人の姿を見ているのは胸が苦しくて、気づかれないようにその場から立ち去った。
たぶん、正司さんもこんな姿を誰にも見られたくないと思っている。