クールな社長の耽溺ジェラシー


仕事を終えて外に出るとすっかり暗くなっていて、街灯や車のライト、ビルの明かりで街中は溢れかえっていた。

まとめていた髪をほどいて乾いた風に遊ばせていると、見知った姿が目の前にあった。

「新野、さん……」

新野さんは私を見つけると、迷いのない足取りで近づいてきた。風でジャケットが乱れても気に留めることなく、視線は私だけに向いていた。

「どうしてここに? 今日は打ち合わせ、ありませんよね?」
「仕事は関係ない。小夏に会いたかったから来た」

あいかわらずストレートな言葉に、なんて返していいのかわからない。

「現場から直帰かもしれなかったのに、ずっと待っていたんですか?」
「ずっと、っていうわけじゃない。それに、広瀬とたまたま現場近くで会ったから、いるかどうかは聞いてたんだ」
「いつの間に……」

休憩室にいた正司さんを見たあと、席へ戻ると広瀬さんは別件で現場に出ていた。私とはそのまま顔を合わせずじまいだったけど、そこで会ったのだろう。

「昨日は悪かったよ」
「それを言いに来たんですか?」
「ああ、今日一日気になって……本当に、悪かった」

申し訳なさいっぱいに伏せられた瞳に胸が痛くなる。

「それは……もういいですよ。新野さんが悪いわけじゃないですし、それに理由がわかった気がするので」
「理由?」

眉を寄せた新野さんに正司さんが抱えているプレッシャーの話をしようかと思ったとき、うしろから足音が聞こえた。


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