クールな社長の耽溺ジェラシー
≪いい、待つ≫
「ほかの人と行ったほうが……部下の方とか」
待つとはっきり言ってくれたことが嬉しいのに、つい測るようなことを口にしてしまう。これで「なら、そうする」と言われたらたぶんガッカリするくせに。
≪いや、待つ。小夏と行きたいから≫
いま、新野さんはどんな顔でこのセリフを言ったんだろう。きっとあいかわらずの無表情なんだろうけど、目の前に私がいたらまっすぐに見つめて言ってくれると思う。
「ず、ずるいですよ、新野さん……その誘い方は」
≪どっちが? 小夏こそ、俺の気持ちを知っておいてほかのやつを引き合いにだすなよ。そんなの、選択肢がひとつしかない≫
「ひとつ、って……」
≪小夏しかないだろ≫
耳に直接響く、甘く低い囁きに頬から首が感覚がなくなるほど火照りだした。
「わ、わかりました、じゃあ……行きます」
≪ああ、時間はまた連絡くれたらいい。それじゃ、楽しみにしてる≫
それだけ言うと電話はプツリときれた。新野さんの声をもう少し聞いていたかったような、でも聞いていたら心臓がもたなかったような。
真っ黒な画面になったスマホを胸に抱き、ソファにもたれて天井を見上げた。
はぁ、と息を吐くと、新野さんと話している最中に高まった胸の熱も吐き出せた気がした。
新野さんはストレートに想いを伝えてくれる。私も、いつかこの気持ちに答えを出さないと――。