十人の住人
22歳 1月11日

良樹のお見舞いに行った。
痩せこけた彼を見ると心が締め付けられた。

「大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫!すぐよくなるよ」

おちゃらけて答える姿にまた心が締め付けられた。
こんなになるまで一人で耐えてたんだ、こんなになるまで一人で抱えさせていたんだ、そう感じた。

「どうしたの?難しい顔して。」

良樹が私の顔を除き混んできた。
どうやら顔に出てしまっていたようだ。

「ごめん、なんでもないの」
「なんでもなくないでしょ」
「なんでもないったら!!」

ハッとした。
大きな声で反論してしまった。
ビックリしてショックを受けたような表情の良樹が目にはいった。

「あの、私…」
「今日はもう帰りな?疲れたでしょ」
「うん…そうする…」

そのまま私は病室をあとにした。
< 9 / 30 >

この作品をシェア

pagetop