美魔王さまと結婚したなら
この夜には父が来たのもあり、さっちゃんに倉持さん、日下さん夫妻にいっちゃんにレンちゃん、ちょうど午後からオフだった由香里も招いてパーティーになった。
私は、妊婦なのでお酒は飲めないし無茶しないこととなり、皆が何かしら持ち寄り、更には父と明さんが家で色々作って出してくれた。
意外な事に父は料理が出来た。
そこで聞いた驚きの一言。
「ふふ、今だから言えるけど、麗蘭は料理が苦手でね。一緒に居た頃から僕が作っていたんだよ?」
「え?お母さん料理出来なかったの?」
驚いて父を見ると、父はにこやかに頷いて返す。
「施設に居たからね、教わる機会が無かったんだよ。麗蘭が居なくなる前には僕と一緒にやっていたから随分上手にはなっていたけど、初めは包丁持たせるのも怖かったね」
当時を振り返り、父は柔らかく微笑んで話してくれた。
父の中では母はまだ色褪せずにそこに居るのだろう。
こんなに想われてる母は幸せだろう。
そんな二人の間に産まれた私も、何だかんだで母になる。
不思議な気持ちになるけれど、ここには確かに新しい命が着々と成長している。
それが嬉しくて私は自然と笑顔になった。