ダブル~私が選ぶのはどっち~
同期のよしみか、矢田君はそんな風に石原さんに話しかけた。

「やっぱり私にはもともと営業の素質がなかったんだと思うわ。だから吉川さんて本当にすごいと思います。」

そうやって話の輪が広がっていく。

和やかで言いたい事を言い合っていると、支店に居た頃を思い出す。

でも話しているのは草野主任、矢田君、石原さんだ。

私と林主任は三人の掛け合いを楽しく聞いているという感じ。

お開きになる頃、矢田君と石原さんはもう一軒行くという。

多分、矢田君は草野主任に何か言われているのではないだろうか。

「俺はここで。奥さんが待っているから。」

林主任は私にうなずく。

まるで頑張って来いとでも言っているように。

「お疲れ様でした。」

私と草野主任はタクシーに乗った林主任を見送った。

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