ダブル~私が選ぶのはどっち~
三人がこうして顔を合わせる事になるなんて、あの頃では全く想像が出来なかった。

「あっ、草野主任。今回の転勤ではいろいろ骨を折って頂いたみたいで…。」

私は急にその事を思い出す。

慎も私の横に来ると、二人で頭を下げた。

「これが俺のお前たちに対する罪滅ぼしってところかな。」

草野主任はそう言って、腕時計を見た。

「実はさっき言っていた見合い相手を別のホームに迎えに行かなきゃならない。悪いがここで失礼する。」

あまりのあっけなさに私達二人は目を丸くする。

「そんな…、どこかに場所を移して、もう少し…。」

私の言葉に、草野主任は首を横に振った。

「…まだ二人の姿を長く見ている自信がない。」

そう言うと、草野主任は身体の向きを変えて歩き出した。

そしてこちらを振り返る。

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