烏と狼の恋愛事情


今井とは腐れ縁というものだった。


こいつの事情なんざ知らねェが、幼稚園の頃から小5までクラスも同じで
席も近かった。高校生の今だってそうだ。

小5の2学期からアイツは唐突に来なくなり、寂しかったわけではないが
毎日目に入るものがなくなるというのは、意外と気になるものだった。

担任に聞けば転校したらしい。
学校はここからじゃ遠いから近くの学校に行くことになったということを聞いた。

寂しくなる、なんて担任は言っていたが 心の奥底はどうでもどうでも良さそうだった。
それは小5の俺でも察するくらい、どうでも良さそうな。

確かにアイツはクラスのムードメーカーでも、問題児でもなければ
優等生でも 騒がしいわけでも 可愛らしいというわけでもない。
物静かでどこか大人びてる。団体で行動することを嫌い 個人で行動
したがるような、俺らと一歩線を引いているような女だった。

そんなことを考えていた俺に担任は、にっこり笑って
ありえない言葉を放ったのを覚えてる。

「沖田くんは信女ちゃんが好きだったのよねぇ。ごめんね言っておけばよかったわ」

…この先生は何を言ってるんだろ。
小5で勉強はマジで普通か少し悪いくらいの俺が
高校入試の問題を1分で解け と言われてるくらい謎なことで、言葉の意味が理解できなかった。

「…俺、アイツのこと好きじゃありやせん」

「え?そうなの?沖田くん、近藤くんたちのとこに行く前に 絶対に信女ちゃんの
ところに言っていたからてっきりそうなのかと思ってたわ。」

「………絶対じゃなくて たまにでさァ。」



それから中1の頃に再開したが 同じ中学というわけではなかった。
だけど途中まで電車が同じで、満員の電車の中遭遇してしまうことも多々。
高校にへ入れば 同じクラスで隣同士というは?としか言えないような
席順で、そんときにやっと理解した。こいつとは汚ねェ腐りまくって異臭醸し出してる糸で結ばれてんだって。
早く腐り落ちてくれることを心の中で祈って、もう3年。

今年で俺も今井も卒業だ。
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