気がつけば・・・愛

「初めてこの寺で見た時にあゆみさんだと
気づいていました・・・

7歳のあの時・・・
あの日からずっとずっと好きでした

どこかで会えたら伝えるつもりで
温めていた気持ちです
会えなくても気持ちは変わりませんでした

こんな“お坊さん”可笑しいでしょ?

本当はあゆみさんに思い出して貰って・・・
それからって何度も作戦を練ったのに、
我慢出来なくてごめんなさい」


「そんな・・・」

いきなりの告白に
頭が真っ白になる

ーー7歳から?ーー

どれだけ深い想いなのか
推し量れない

けれど・・・

自分も会えると思うだけでドキドキしていた
会えないと落ち込んで
また会いたいと強く願った

絡み合う糸の中から
見つけだした運命の糸を結ぶことすら出来ない現実

でも動き始めた歯車は
もう止められない気がする

だって・・・
住職と同じ想いだったことが
とてもうれしい

棚上げした現実を
見ないようにして間近の唇に触れる

2度目も触れるだけの口付け

ただそれだけなのに

忘れていた胸のトキメキと
男性に触れるドキドキに

感情が高ぶり
やがて涙に変わる

「ごめんなさい、あゆみさん・・・
私も罪を背負いますから」


ーー罪、だよねーー

でも

罪だと理解出来るだけで
納得は出来ない

「罪じゃなくて・・・私も」

そこまで言うと
目を見開いた住職は

「同じ気持ちだと
自惚れても良いですか?
ありがとう・・・あゆみさん」

何度も何度も繰り返す

腕の中の心地良さに
時間を忘れて
白檀の香りに包まれていた
< 27 / 77 >

この作品をシェア

pagetop