気がつけば・・・愛
気持ちが落ち着くとちゃぶ台を挟んで向かい合った
「コーヒーにしましょう」
離れると急速に冷静さを取り戻す頭
住職は独身で・・・
まだ35歳
私は夫も居る身
頭の中に広がるマイナス思考が
徐々に表情を曇らせる
それに気づく住職は
「ごめんなさい・・・焦りすぎました」
寂しそうな目をした
その表情を見ただけで
鼻の奥がツンとする
返事の代わりに
小さく頭を振ると
動きに合わせるように涙が溢れた
伝える必要も無いのに
心の声が唇を割る
「・・・違う・・・の、ごめんなさい。
私・・・ひとつも自信が無くて・・・」
5つも年上の面倒な女じゃくて
素敵な住職にはもっと相応しい相手が居る
一時の感情に流されないで欲しいと
溢れる涙を拭うことも忘れて
少しずつと吐き出すと
穏やかに微笑んだ住職は
「あゆみさんじゃなければ・・・
私はただのお坊さんです」
伸ばされた指が頰の涙を拭い
自分を卑下しないでと宥められた