Sweet moments ~甘いひと時~
心なしか身体が重いが、ケーキを焼くべく準備を始めた。
ケーキを楽しみにして下さっているお客様の為にも1日たりとも休みたくない。
10時になってもケーキにフィルムを巻き終わらず、いつもの開店時間を少し過ぎた時刻にようやく扉に掛かっている札をcloseを〝Open〟にして店内へ入った。
すると直ぐに来客のベルが鳴り響き、お客様が少し乱暴にドアを開け入ってきた。
「いらっしゃいませ。」
そう言って笑顔で振り向くと、息を切らして来店して来た人物を見て、目を見開く。
薄っすらと汗が光る彼は、昨日と同じスーツを着ていて少しネクタイが曲がっている。
常に完璧な彼の姿とはあまりにも違って、どうしたのだろうかと心配になってしまう。