Sweet moments ~甘いひと時~


気づけば目から次々の涙が溢れていく。


「加代ちゃんは昔から少し重い病を患っておってな。その病の所為で子供が出来なかった。舞華ちゃんが卒業する頃にはもう、手のほどこしようがない状態じゃった。加代ちゃんが息を引き取った後、まるで後を追うように雅彦に癌が見つかった。気づいた時には既に末期で店を続けられなかったんじゃ。、、、2人は最後まで舞華ちゃんの事を気にかけておった。あの子はきっと立派なパティシエになると。舞華ちゃんのパティシエ姿を見るその日まで絶対に死ねないと、、、。見舞いに行くたびに、口にするのは決まってそのセリフじゃ。」


実の父親が死んだと知った時、棺に入って眠る姿を見た時、燃えて灰になった時。

一度も涙は出なかったのに、どうしてこんなにも涙が出るんだろう。


子供のように声を上げて泣く私を間宮社長はキツく抱きしめてくれた。


「あのケーキに救われたのは舞華ちゃんだけじゃない。ワシもそうじゃよ。仕事で行き詰まった時、業績が落ちた時、挫折しそうになった時、妻と心が離れそうになった時、、あのケーキは頑張ろうという気持ちにさせてくれた。」

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