バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました

─♢過去との訣別♢─


突き落とし事件の加害者二人と被害者の花音では、置かれている立場がまるで違うのは分かりきっていることだが、加害者はそれなりに罪を償わなければならない。

勿論それは、社会的なと言う意味での責任だけではなく、被害者本人に対する責任がある。

あの件については、既に示談が成立しており、当時、相手方の弁護士により、二人からの反省文が届けられた。

花音は家族の意向通りに示談とし、取り敢えずの区切りをつけていたが、時々あの当時のことが思い出されて、昴に慰めてもらってきたと言う経緯がある。

あの事件を単なる過ぎ去った出来事とするには、3年半と言う時間は、何と長くて短い中途半端な期間なのだろ。

改めての謝罪や補償など必要ないが、理人と優花のことについては、なかなか承服出来ずにいる。

もともと花音の理人への思いは、ただの憧れから来るものだったのだが、しかし、あの時、理人が優花に向ける優しい眼差しを自分にも向けて欲しいと感じていたことは、紛れもない事実であったのだから。

優花も理人を愛していたのだろうが、それにしても、如何なる理由があるにせよ、他人に危害を加えて良いはずはない。

あの二人が再び付き合うとなったら、どのように受け止めれば良いのだろう…と、花音は昴に苦しい胸の内を聞いてもらうことにした。

昴は昴で、悠輝から二人の話を聞いてはいるが、当時のことを思い出すと、何だかやり切れないものが込み上げてくる。

しかし、花音には早く区切りをつけさせたいと思っているのは事実で、今一番重要なのは、妊婦の健康である。

昴はトコトン花音に寄り添う覚悟が出来ているから、彼女にはどんと来いと言ってやった。
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