バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました
太田の仕事だが、2年生の担任でバレーボールクラブの顧問で、低学年に読み聞かせをして、そしてきっとまだまだたくさんやることがあるはずなのに、優花の世話人まで引き受けている。

何だか申し訳ないような気持ちになりながらも、言われた仕事をやらなくてはと、明後日行われる低学年向けの読み聞かせの資料をコピーする。

未だにコピーなんてするんだと思うが、紙の手触りも実は好きだなとせっせと手を動かしていた。

午前中はあっと言う間に過ぎて、給食の時間。

わああ、何年ぶりだろうこの感じと、感激を隠せずいると、太田が言った。

『子供達と同じ量食べると大変なことになるよ。ちょっと少ないくらいが、大人にはちょうど良いよ』

そうだったそうだったと、昔懐かしい給食は、あの時はああだっただとか、両親がマンションを買った時は嬉しかったなだとか、引っ越して転校した時は緊張したなと、郷愁に浸っている優花。

ソフト麺にカレー、ポテトサラダ、牛乳はパックのものに替わっている。

牛乳瓶を運ぶのは大変だったな…フフフ。

その時、優花の頬にひと筋、温かいものが流れ落ちた。

はあ、子供時代は楽しかった…この子達はまだまだ人生始まったばかりで、親御さんも楽しみだろうな!

自分の両親も、優花に期待を寄せていたんだろうか。

嗚呼、私は何て馬鹿げたことをしてきたんだろう。

今ならきっと、両親の思いも分かるはずだ。

成人して数年が経って、何と無意味な日々を送ってきたのだろう!と、思考の渦にどっぷり巻き込まれていた時、太田が優花に声を掛けた。

『ストップ多度さん、なんか何処か遠くに行っちゃいそうだったね?今日はそこまでだよ』

ハッと気がいて、優花は食事を再開するが、どれだけ物思いにふけっていたんだろうと、顔を赤らめた。

すると、2年生の児童達が、お姉さん顔が赤い赤いと楽しそうに囃し立てる。

わああ、どうしようと思っていると、太田が先生らしく、児童達をたしなめてまた給食が再開された。

カレーソフト麺懐かしくて美味しかった!

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