バイバイ☆ダーリン 恋心編 番外編完結しました
その後の料亭の方はにっちもさっちも行かない状態のようで、林葉父が理人の兄を伴って、嵯峨野家にやって来た。
料亭のためとは言え、再度嵯峨野家に出向くことになって、林葉父は苦い思いを感じた。
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客間には嵯峨野父と、林葉父、そして理人の兄の聡也が座っている。
『この度は私どもの不祥事で、嵯峨野家の皆様には大変な御迷惑をお掛けしまして、誠に申し訳ございませんでした。お嬢様のお怪我はいかがですか?』
林葉父子が深々と頭を下げた。
花音の怪我は随分良くなった、と答える嵯峨野父。
『理人君はどうしていますか?』
嵯峨野父も、ちょっと気になっていたのだろう。
『はい、理人は海外留学させることとなりました。本人は退学を考えていたのですが、私がどうしても大学だけは出してやりたいと思っておりましたので…。』
『そうですな。彼は暫く、料亭の方には顔を出さないのがよろしい。数年あれば噂の方も何とかなるでしょう…ハハハ』
嵯峨野父の言葉は、正にその通りなのだが、何だかその言い方にトゲがあるように感じられる。
でも実際は、嵯峨野父は何も考えていなかったのだが、さすがに社長業を取り敢えずしているくらいであるから、その辺は何とかなっているのだろう…。
『嵯峨野さん、どうか、私どもを助けると思って、嵯峨野商事の方で料亭をまた利用して頂くわけにはいきませんでしょうか。実は、理人の件で、予約が全てキャンセルされてしまったのです』
林葉父は理人の噂話のことを話して、再度息子の不祥事を詫びて、料亭を助けて欲しいと頼んだ。