バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました
さてさて、忘れてはいけない、あの二人は…、現在どうしているだろうか。

〔理人の元カノ 多度優花の場合〕

『さっさとご飯食べちゃいなさい。片付かないでしょう』

母の作った朝食を、ボーッとしながらゆっくり食べる。

ことある毎に聞かされる母のお小言を今朝も聞き流す優花は、実家に舞い戻って2週間、何をするでもなく、ただ息をしてご飯を食べて…と、何だか分からないうちに時間が経っている毎日を過ごしていた。

最初の1週間は、親に責められ泣かれ、優花にとっては面白くないものだった。

普通の会社員の家庭で、結構優秀な娘が金持ち子女向け大学に通っていたのだから、この家の家計のやり繰りは大変なものになるはずだった。

それでも優花の両親は、いくらやり繰りが大変になろうとも、自慢の娘に楽しい大学生活を過ごさせてやりたいと、親として最大限の援助をする心積もりがあった。

娘が努力して努力して頑張って入った大学で、あのよう事件を起こしたために、入学数ヵ月で退学になるなど考えもしなかったし、未だに信じられない思いもある。

ことの顚末は聞いている。

しかし、交際相手の男には許婚がいたなど、もっての外だと憤慨していたが、その男はもう日本にいないらしいと聞かされて、そんな男を好きになって傷付いた娘が不憫でならない。

その当時の娘の置かれた立場が不安定であったことは知っている。

もっと違うまともな男と娘が出会っていたらと、時折涙を流す両親だったが、やはり、他人を傷つけ怪我を負わせるなどあってはならないことだ。

実際問題、これからどう娘と向き合うべきか、考えあぐねている状態なのだ。

それでも、18歳の未成年の娘のやらかしたことだ。

親として、責任を取る覚悟はある。

弁護士に頼んで、相手の親に謝罪したいと伝えてあるけれど、会ってもらえるかどうかは分からない。

これからどうしたらいいのだろう…。



────────出演優花の両親─

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