バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました
悠輝が花音の奪還に来ているかも知れないと、昴はどう対応すべきか、考えあぐねていた。

何故なら、もし、ここで兄である悠輝と揉めでもしたら、花音と別れさせられる可能性だってあるしと、今後の悠輝との付き合いや、もしかしたら、嵯峨野商事に務める自分の父にも何らかの影響があるかも知れない。

う~んと思い悩む昴を、どうしようと不安げに瞳を揺らす花音を見て、何を不安にさせているんだ、ここは堂々としていようと話したばかりじゃないか、だから二人一緒に過ごしたいと悠輝に伝えて、真剣さを何とかアピールせねばと息巻いていた。

ロビーに入って直ぐに分かった。

いた!昴よりも体格が良くて、イケメン度合いも高くて金も持っていて、末は嵯峨野商事の跡継ぎで…そこらの軟弱な男どもを蹴散らす正に怪物だ。

それに引き替え、自分はないものだらけの頼りない男だけれど、花音を愛する気持ちは誰にも負けないんだと自負している。

そしてそのとてつもなく大きな怪物が、桜子を伴って近付いて来る。

怪物映画のイントロが流れていそうな雰囲気に昴は少しだけ怯んだが、イカンイカンと、花音と自分の未来がここで決まるかも知れないと言う、一種の強迫観念に駆られつつも、エイッと真っ直ぐ怪物の目を見て、待ち受けていた。

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