バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました
一夜明けて…

花音が目を覚ました時、昴に優しく見つめられていたことに気が付いて、顔が真っ赤になっていくのを感じる。

どうしたらこの恥ずかしさから逃れられるのかと考えてみたが、結局頭からすっぽり毛布を被って、真っ赤っかになった顔を隠すしかなかったのだ。

《ワア、どうしよう…どんな顔して、昴君と話せばいいの?》

胸の鼓動はきっと、限界点などとうに超えているはずだし(いえいえ、簡単には超えませんから!)、花音は思わずキャーと声に出して叫んでいたらしい。

『花音、どうした?』

そうなのだ、昨夜二人がそれまで以上のアツアツの関係になって、昴は呼び捨てで花音と呼び、花音は昴君と呼ぶようになったのだ。

恐る恐る毛布から顔を出した花音は、恥ずかしい…と告げる。

『フフッ…ねえ花音、俺君と本当のカレカノになって、スッゴく嬉しいよ。ずっと一緒にいたいと思ってる』

昨日、悠輝からお墨付きをもらい、早くも嵯峨野商事に入社が決まった昴は、近い将来、花音の婿として嵯峨野家に入るのかも知れない。

どっちにしても、花音との未来は明るいのだ!

花音の目からは大粒の涙がポロポロ零れているが、昴は無言のまま、指の腹でそれを拭ってやる。

恐らく、かつての許婚との間にあった微妙な辛くて悲しい出来事が、彼女の脳裏に過ぎっているのだろうと、昴は静かに抱き寄せた。

昴は察しの良い男のようだ。

偉いね!昴君。
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