お見合いだけど、恋することからはじめよう

「……今の言葉、博多弁?」

諒くんがくすくす、笑っている。

リムレスの眼鏡はラーメンの湯気で曇るため、外されていた。

裸眼のまま、じーっと見つめられる。

……ばり、恥ずかしかっ。

「はぁ、(おおむ)ねそうですけど、祖父母の筑後弁も混じってると思います」

あたしは俯きながら、おずおずと答えた。
祖母が鳥栖の近くの出身だったので、佐賀の言葉も入ってるかもしれない。

「いやぁ、博多弁の女の子はすっげぇかわいいって言うけど、面と向かうと聞きしに勝る威力だな」

……いやいやいや。
うちゃぁ、ひたすら恥ずかしかですね。

「確か、水野局長……ななみんのお父さんって福岡に出向してたんだよね?」

諒くんはそう言ってストレートの細麺をすすった。「旨いな、これ」とつぶやく。

それを見てあたしも止めていた箸を再開させる。

「もともと父は福岡の出身なんですけど、辞令が出たあと、私立に通う姉以外は家族一緒に赴いたんです。あたしは小学生だったので、すっかり向こうの言葉が身につきました」

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