お見合いだけど、恋することからはじめよう
「……悪い、早口だったから、なんて言ったのかわかんなかった。どういう意味?」
……いやいやいや、わからんで良かとです。
「都合の良いときだけエバりくさってる、めんどくせぇ男たち」ってことを言っただけですから。
もちろん、諒くんのことじゃないし。
「麺が伸びちゃいますよ?細麺って思ったよりも早く伸びちゃうんです。全部食べ終えたら、替え玉しちゃいますか?」
あたしは、にこっ、と笑って促した。
それからは二人とも、本場博多の豚骨ラーメンと一口餃子に集中して、しっかり堪能した。
諒くんは生まれて初めて「替え玉」した。
替え玉が百五十円だと知って、その安さにびっくりしていた。
諒くんだってもちろん、お昼休憩のときにラーメン屋に入ることはある。
だけど、今までは東京風の醤油味の中華そばばかりで、ご当地ラーメンでは北海道の味噌ラーメンは食べても、九州の豚骨ラーメンはあまり食べようと思わなかったそうだ。
「……豚骨味って、もっとどろっとしてシツコいかと思ってたけど、意外とあっさりしてんだな」
諒くんは感心したようにつぶやいた。
「まぁ、ここのラーメンは『東京仕様』なのかもしれませんけど、確かに昔に比べるとほかの地方の人にも受け入れられる、あっさりめの豚骨スープが増えましたねぇ」
その一方で、お店によってはおどろおどろしいほど、こってりした豚骨スープが「進化」してるけれども。
「それに、こういうフードパークやショッピングモールのフードコートを侮ってたな。
……いや、こんなに本格的だったとは」
諒くんは眉間にシワを寄せて唸っていた。
「こういうとこは周りのお店との競争が熾烈で、評判が良くないとすぐに切られちゃいますからね……今度はモールのフードコートに行きますか?北海道のお店で海鮮丼が美味しいとこ知ってますよ?」
あたしがそう提案すると、諒くんは一転して満面の笑みになった。
そして、「ごちそうさま」と二人で手を合わせたそのとき。
あたしはようやく、気がついたのだ。