お見合いだけど、恋することからはじめよう
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ラーメン国技館を出ると、あたしはフルラのキャンディから噛むタイプのブレスケアを取り出した。プラスチックのボトルから三粒出して、口の中に入れる。

でも、コートやニットなどについてしまった匂いはどうしようもないけれど。
速攻、ファブリーズで滝行したい気分だ。

「ずるいな……おれにもくれよ?」

諒くんが苦笑しながら大きな手のひらを差し出す。そこへ、かしゃかしゃと三粒ほど出した。

そして、それらを口の中へ放り込んだあと、その大きな手のひらであたしの頭を、ぽんぽん、っとした。

「次は『海鮮丼』だから、匂いは気にならないだろ?……でも、また豚骨ラーメン食いにくるけどな。おれにこんな旨いラーメン教えたんだから、責任とってまた連れてきてくれよ?」

リムレスの眼鏡の向こうにある目が、やさしかった。

あたしはようやく、うん、と肯いた。

「あの……諒くん」

あたしは初めてその呼び名を口にした。

「ラーメンと餃子、ごちそうさまでした」

心の中ではすでに何回もそう呼んでたけどね。

一瞬、目を見開いたあと、諒くんははにかんだ。


……やっぱ、この呼び方、すっげぇ威力だ。

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