お見合いだけど、恋することからはじめよう
「ななみん……なんで、おれ……あのときに、おまえの良さがわからなかったんだろうなぁ」
目の前では、金髪で左耳にダイヤのピアスを輝かせた二十歳そこそこの若いバーテンダーが、グラスの中のドライ・ジンとカンパリとベルモットのリキュールをステアしている。
目黒先輩が頼んだネグローニだ。
「……なんですか?今さら」
あたしはフルボトルから大きなチューリップグラスに注がれた真紅のバローネ・リカーゾリを一口含む。
辛口のためか赤ワインのぽってり感はさほど感じられないのだが、だからといって淡白なのかといえばそうではない。芳醇でフルーティな味わいの中にはスパイシーさも香っている。
……ような気がする。
ワインの味なんてまだまだわからないからなぁ。
けれど、あたしにとっては、このワインは割とぐいぐい呑める飲み口なのは確かだ。
……一本、きっちりと空けさせていただきます。
「この歳になると、おまえみたいに心のうちをズケズケ曝け出してくれる女は滅多にいない、ってことがわかってきたんだよ」
すぐに空いたグラスに、目黒先輩がワインを注いでくれる。ちなみに彼はワインは好まない。
その渋い酸味が苦手なのだ。醍醐味なのに。
あたしとのデートでイタリアンへ行っても決して呑まなかったが、サークルの呑み会でだれかが一本オーダーしたときにはつき合って呑んでいたけれど。
……ところで先輩、何気にあたしのこと、ディスってませんか?
「……そういうおまえとだったら、たとえケンカになったとしても、こっちもちゃんと心を曝け出して、同じ人生を歩んでいけたんじゃないか、って思うようになった、ってことさ」