お見合いだけど、恋することからはじめよう
学生時代、つき合い始めてもあたしはなかなかうちの家族のことを目黒先輩には言えなかった。
ある日、意を決してようやく彼に告げた。
すると、彼は案の定、
『……えっ、お父さんもお姉さんもT大法学部卒の金融庁の官僚!? それで、お母さんは名門お嬢さま学校の教頭先生!?』
と、絶句して固まった。
だが、今の彼にはあのときの面影は微塵もない。
今の彼はあたしの目をしっかり見つめ、諭すような口調で問いかけている。
その後、通っていた有名大学を無事卒業して、大手広告代理店に入社しプランナーとなった彼に「自信」が備わったゆえだと思った。
……時は、確実に過ぎていた。
あたしたちはもうあの頃のような、海のものとも山のものともしれない学生ではないのだ。