お見合いだけど、恋することからはじめよう

「あぁ……同期なんです。特に仲がいいってわけじゃないですよ?」

あたしは淡々と答えた。

「えぇーっ、あんなにすっごいイケメンな上に出世頭なのに、なんでモーションかけないのよぉー。もったいなーい!」

誓子さんがぶんぶん身悶えする。

……それに「モーションかける」っていつの時代の言葉ですか?今は平成の御代ですよ?

「あら、お見合いもいいとは思うけど、もし社内でいい人がいるんだったら、考えてみた方がいいわよ?」

彩乃さんがアドバイスしてくれる。

だけど『社内でいい人が』って部分で、今のあたしの心に、ずきり、っとくる。

「……やっぱり、結婚ってね。本当に好きだと思える人とするのが、しあわせになれると思うから」

彩乃さんがそう言って、目を伏せる。

確かに、先日思わぬデキ婚をしてしまった目黒先輩の姿を見ていたから、そうかもしれないな、と思うけれども。

それにしても、彩乃さんの青白い顔が痛々しい。
昨夜は眠れていないんじゃないのかな?

「……でも、青山だけは絶対に『ナシ』です」

あたしはヤツによる情報システム部での「お局&新人二股事件」を洗いざらいぶちまけてやった。
そして、ヤツが社内外で女の子たちをいかに喰い散らかしてるか、ってことも。

すると、誓子さんだけじゃなく、彩乃さんまでもムンクの叫び顔になった。

……ありがとう、青山。
あんたのおかけで、青白かった彩乃さんの頬に少しだけ赤みが差したよ。

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