お見合いだけど、恋することからはじめよう

「うっわー、ナシナシっ!
青山だけは絶っ対にダメだよっ、七海っ!!」

誓子さんが絶叫した。

……あなた、確かつい先刻(さっき)まで青山を絶賛推奨中でしたよね?

「……クールで堅物そうな青山くんがそんな人だったなんて、夢にも思わなかったわ」

彩乃さんが深いため息を吐く。

……社内では結構有名な話だけどなぁ。
彩乃さんも誓子さんも特別待遇のため、一般社員(下界)のウワサ話からかけ離れた「雲上人(うんじょうひと)」だからなぁ。

「ま、でも……ヤツの肩を持つわけじゃありませんが、なにか事情がありそうですよ?」

「なに、なに?」と誓子さんが身を乗り出す。

「どうやら……『初恋の人』がからんでるみたいなんですけど。その話題になると、即ぶっ殺されるくらいすっごく怖い目で睨まれるんで、詳しいことは知りませんが」

「『初恋』ねぇ……」

誓子さんが遠い目をする。

「それは、なかなか……忘れられないわよねぇ」

……あらあら、誓子さんのような「人生一本道」って感じのお方でも?

そういえば、ステーショナリーネットのイケメン社長とは、その後どうなったのかなぁ?

あたしの方の「初恋」は、おかげさまで先日キレイさっぱり一ヨクトグラムの未練なく、こっぱみじんこに粉砕できましたが。

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