お見合いだけど、恋することからはじめよう

「……ねぇ、七海。彩乃のこと、どう思う?」

島村室長と彩乃さんが去ったあとの空間を見ながら、誓子さんが訊いてくる。

「ど、どうって?」

あたしはおずおずと様子を伺う。

「あれは絶対になんかあったわよね?」

誓子さんが目を(すが)めて言う。

「えっ、島村室長とですか?」

「なんで、島村室長が出てくるのよ?」

あたしが思わず口走った言葉に、誓子が怪訝な顔をする。

先刻(さっき)、島村室長の名前を言ったとき、なんか彩乃さんの顔色が変わったから……」

誓子さんが、ああ、あれね…という顔をする。

「でも、そのあと法務部の女弁護士とのブリザード対決の話には、にこにこしてたじゃない?
島村室長自身が関わってるとは、わたしには思えないわ」

……この人、思いのほか、よく見てるなぁ。

「たぶん……副社長とのことじゃない?
彩乃が『やっぱり、結婚ってね。本当に好きだと思える人とするのが、幸せになれると思うから』って言ってたことの方が気になるわ」

誓子さんが、うぅーん、と唸りながら腕を組む。


「あれだけの男だもんね……オンナ関係よ」

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