お見合いだけど、恋することからはじめよう

「……休憩中申し訳ありませんが、朝比奈さん、副社長室にお茶をお願いします」

ふと声がしたため、あたしたちは顔をそちらに向けた。すると……そこに島村室長が立っているではないか。

……ひいいいぃっ!?
ウワサをすればなんとやら、だっ!

いつもお昼休憩のときは副社長と一緒なので、油断しきっていた。
あたしは完全にテンパってしまった。
やっぱり、ヒミツの話はバラすものではない。

しかし、さすがは彩乃さんである。

「は…はい」

と、若干声は上擦りながらも、ランチボックスのふたを閉めて、すくっと立ち上がった。
そして、あたしたちに目配せしたあと、島村室長について秘書室を出て行った。

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