お見合いだけど、恋することからはじめよう

痛くはない程度にきゅっと手首を掴まれ、けれども決してその手は離してくれない。

「……ねぇ、どこへ行くんですか?」

そのまま、赤木さんに引き摺られるように歩きながら、あたしは怪訝な声で訊いた。

「東京に返り咲いたら、七海とまた行きたいと思ってたんだ」

そう言って、彼があたしを連れて行ったのは……


「呑み会」と称した社内合コンで、

……あたしがそのあと彼に「お持ち帰り」されたお店だった。

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