お見合いだけど、恋することからはじめよう
「それって……うちの父が金融庁の官僚だっていうこと?」
ここに引っ張り込まれるときに、赤木さんがそう言ってたのを思い出す。
「あぁ、そうさ。それから、おまえの姉さんもそうらしいな?それと、おまえの母親は名門お嬢さま学校の教頭なんだってな?」
姉も母も確かにそうだけど、わが母校のことをそんなふうに言われると、ちょっと照れる。
ま、世間的にはそう言われてる女子校だけど……
「……だからっ、なんで『彼氏』のおれが知らないのに、桃子はもちろん、おまえの同期の青山たちがみんな知ってるんだ?って話をしてるんだよっ」
一人照れていたあたしを、赤木さんが横目で睨む。
……あぁ、そうだった。
あの頃のあたしは、目黒先輩のときに踏んづけてしまった轍を、自らもう一度踏んづけるわけにはいかないと思い、赤木さんには家族構成は告げても、その経歴には一切触れなかったんだった。
今となっては、あのときの目黒先輩がただ「チキン」だった、っていうことに尽きるんだけれども。