お見合いだけど、恋することからはじめよう

「だから、なにも知らされていないのは、
『七海に心を開かれていないからなんじゃないか』と言われた」

とたんに赤木さんの顔が苦しげに歪んだ。

「おまえ、おれとつき合う前、おれが社食にいてもまったく興味なかっただろ?
同期の女子たちと日替わりランチをうまそうにばくばく食いながら、一人大口開けて豪快にバカ笑いしてたもんな」

……ひいぃっ⁉︎
そんな記憶、とっととラララ星の彼方にぶっ飛ばしちゃってよっ!

「秘書室の配属って、もっとお高くとまってると思ってたから、衝撃だったよ。それに、見た目は『小動物系』の『夢見る夢子』なのにさ」

赤木さんは口の片端を上げて苦笑した。

「そのとき……こういう子だったら、くだらねぇウワサなんか気にしないで、『本当のおれ』を見てくれるんじゃないか、って思ったんだ」

実際には、皮肉なことに「小動物系」で「夢見る夢子」な外見のイメージから逸脱しないようにと、徹底して心がけていたというのに。


……「くだらねぇウワサ」にだって、コロッと引っかかったっていうのに。

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