お見合いだけど、恋することからはじめよう
「形振り構わず手段選ばずで、すっぽん並みの執着心の桃子さんですよ?
赤木さんが東京に転勤になったからって『はい、そうですか』って言って、あっさりと諦めるとでも?今頃、またお父さんの専務に相談して、自分も東京に戻る算段をしてるかもよ?」
あたしが呆れ果てた口調で言うと、
「……やっぱ……そうだよなぁ」
赤木さんは、あのふてぶてしいまでに強気だったのはだれ?っていうくらい、情けない顔で呻いた。しかも、無駄にイケメンな分、残念さが半端なく増量されていく。
「もし、赤木さんが桃子さんときっぱり離れたければ、意を決してしっかりと言わないと。
それでなくても、彼女は今年三十歳の『大台』なんです。このままズルズル行ったら、あとがないと思って、ますます赤木さんに執着しますよ?」
彼女が今のあたしと同じ歳だったあの頃ですら、
『もう二十七歳だしね。
……「政略結婚」の「駒」としては、結構リミットなのよ』
って言ってたくらいなんだから。
……実は「政略結婚」でもなんでもなく、彼女の赤木さんを望む気持ちは、まさしく「恋愛結婚」だったみたいだけど。