お見合いだけど、恋することからはじめよう

「……なぁ、七海、あの頃はまだおまえとは半年ほどのつき合いだったし、おれも二十代で、結婚なんてまだまだ考えられなかったけどさ」

……それは、あたしもそうだったけれども。

「おれも三十歳になったことだし、仕事では東京に戻れて、社内でも精鋭が集まるプロジェクトのメンバーにも選ばれた。
この機会にプライベートも落ち着きたいんだ。
だから、今度はちゃんと結婚を前提にして、おまえとつき合いたい」

……はい?

「おれが一生を共に過ごしたいと思える女は、やっばり、七海……おまえしかいないんだ。
七海を忘れられなくて結婚することになった、って言えば、さすがの桃子も諦めるんじゃないか?」

……はぁ⁉︎

「なんなら、すぐにでも婚姻届出すか?」


「あたし……お見合いしたって何度も言ってるよね?」

悪いけど、あたしの方は「一生を共にしたいと思える男」は赤木さんではないのだ。

「わかってるさ……だけど、おまえだって、こんなにおれに『素』を見せられるようになったんだ。知り合ったばかりの親父さんの部下で頭でっかちなエリート官僚なんかより、絶対おれとの方が幸せになれるって思わないか?」

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