お見合いだけど、恋することからはじめよう

「えええええぇーーっ!?」

友佳はムンクの顔でターザンの雄叫びをあげた。

「と、ともちん、声大きすぎっ!」

あたしには突然の大声による耳の痛さよりも、店内の人たちから一斉に浴びせられた視線の方が痛かった。

「ずるい、ずるい、ずるいいぃっ!」

友佳は駄々っ子のように身を(よじ)った。

「仕方なかったんだよー。おとうさんから急に言われてさ。しかも、お見合いの相手はおとうさんの部下だよ?」

あたしはなんとか友佳の気持ちを落ちつけようと(なだ)める。

「ななみんのパパって、エリート官僚じゃんっ!
……もしかして、お見合い相手も?」

友佳が恐る恐るという感じで訊いてくる。

「ん……まぁ、中学からの経歴は、うちのおとうさんとおんなじ、かなぁ?」

ふわっと答えておく。

「じゃあ、中学・高校は御三家の一つで、大学はT大法学部じゃーんっ!」

……はぁ、よくご存知で。

「そんなの、超優良物件じゃーんっ!!
やだぁっ、ななみんまで、あたしを裏切って幸せになる気っ!?」

誠子さん……もとい、誓子(ちかこ)さんと同じこと言うなぁ。

< 82 / 530 >

この作品をシェア

pagetop