一円玉の恋
「今迄もそうだったんですか?…なんだろ…その…がっつく感じ…とか…。」と聞いてしまった。
会場でも、やはり女性が取り囲んでいたし、杏子さんからも遊んでいた話しは聞いている。
山神さんに興味がなかった時は、全く何も感じないが、今は少しだけ気になる。
「やっぱ、そこ気になる?」と聞かれたので、頷く。

「うーん。そうだよね。はっきり言って性欲は強いと思うよ。今迄は特定の人が居ようが居まいが、誰彼構わず自分本意でって時も確かにあったからね。最低でしょ?
けど、やっぱり、翠は違うよね。なんか、出来る限りは悦ばせてあげたいとか思うよね。丁寧に扱って上げたいとか…。翠が気持ち良くなってくれると、こっちも嬉しい。
今までみたいに、自分本意で抱くのとは訳が違うとは思う。そうなると、過去に酷い扱いをした女には悪いことしたなぁって心底思うし、ちゃんと反省するよ。

あと、翠の場合はやっぱり独占欲を抑えてあげれなくなるよね。常に誰かに横からかっさらわれそうな気がして。
翠って、自分で気づいてないけど、かなりモテるんだよ。
目鼻立ちもくっきりしてて可愛いし、ぷっくりとした艶のある唇も、その濡れた瞳も見てるだけで男心をくすぐるよね。はにかんだ笑顔なんて向けられたら、もうもう体が反応してヤバくなるしね。
だから、翠に近づく男はちぎっては投げちぎっては投げって感じで。
とにかく日に日に独占欲は強くなるし、嫉妬も酷くて困る。征服欲も少しあるかもね。

だからね、思いが叶えられたから良かったけど、前はどうせ嫌われているなら、嫌われついでに無理やりにでも翠に俺を受け入れさせようと、思った事も何度かあるしね。体に俺の存在を教えこませたら、いつか好きになってくれるんじゃないかと考えたりして…。はっは、それも最低だけどね…。

…なんとか、そうならずに済んで良かった。
じゃないと、今の状況にはならなかったもんね。だからって、奥さんになったからって翠に対しての独占欲がなくなる訳じゃないので、悪しからず。」
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