一円玉の恋
翌朝、朝食を済ませて、水族館、水族館、と遠足気分でウキウキしながら身支度を済ませリビングに行くと、山神崇も既に身支度を済ませて、ソファで新聞を広げていた。
こっちに気付くと「支度できたんなら、行こうか。」と立ち上がる。
おお!あんまり意識した事はなかったが、この人は…たぶんというか、いや、かなりのイケメンという部類なんだろうなぁと初めて認識した。
モデルばりの手足の長さに、色素の薄い髪と肌、唇は薄く鼻筋は綺麗に通っていて双眸はくっきり二重と日本人離れした顔立ちには女性なら誰しも一度はときめくだろう。
綿パンにシャツに薄手のグレーのジャケットなんてシンプルな格好なのに、それが余計に山神崇の格好良さを際立たせている。
まあ、私には無縁な話しだけど、と考えていると、

「なに見惚れてるの。もしかして惚れた?」

と側に寄って来た山神崇が言ってきた。

「いやいやいやいや、それはないです!絶対!」

と、きっぱりハッキリ答えると、
バシッと頭をチョップされた。

「痛ぁ!何で⁈」

「なにもたもたしてんの、行くよ。」

なんで、なんで、なんで、頭をチョップされないといけないのよ!
前言撤回!やっぱカッコよくない。
全然!全く!くそぅ。暴君オヤジ!

痛いなぁと頭をさすりながら、エレベーターで下に向かっていると、

「へえ、そんな格好もするんだね。」

とワンピース姿が珍しいのか、馬子にも衣装と思われているのか、ジッと見られて言われたので、照れ隠しに、
「もしかして、惚れちゃいました?」テヘッと上目遣いに見てやった。
さっきの仕返しだ!えっへん!

するとバシッとまたチョップされた。
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