一円玉の恋
「ほんっと、分かりやすいよね。単純で面白すぎ。見ていてほんっと飽きないよ。」

と隣でクスクス笑いながら言ってくる山神崇に、現実に引き戻されて、海月の事を言っているのだと思って、

「あっそうですよねー。海月の動きって単純で分かりやすくて、本当飽きないですよねー。何時間でも見てられる。」

と海月を見ながら答えた。

山神崇が、お腹を抱えて笑ってる。
えっなになに?なんかした?と、山神崇を訝しんで見ると、私の肩に両手を乗せて、顔を近づけ耳元で、「見ていて飽きないのは翠ちゃんの事だよ。」と囁いてくる。

なんだ、コイツ?と思って、見ていると妖しげに微笑んでくる。

パッと両手を肩から離して、「さ、イルカショーでも見に行こうか?」と提案して来た。
お、おぅ望むところだーー。
やったーーぁ。と手を引かれウキウキしながら、隣を歩く。
山神崇もなんだか楽しそうだ。

見られるショーは全て見て、名残惜しく思いながら、水族館を出た。
あーー楽しかったぁ。と思って、気づく。
取材ってこれなの?写真とかなんかパンフレットとか要らないの?と思って、未だに手を繋いでいる主を見上げて、

「あの、取材になりましたか?結構混んでたし、必要なものとか集めれました?」

と聞くと。

「ああ、今のは気晴らし。お腹も空いたし、ご飯でも食べようか?」

と言って来た。
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