一円玉の恋
歩き回ったせいか、だんだんと足取りが重くなる。
ヒールにしなかったのは正解だな。
それにしても、この男はなんでそんなに足取りが軽やかなんだ。
疲れも感じさせない。
確か、私より九つは上のはず。
おじさんだよね?おじさんに負けてどうする!と自分を励ましながら、家路を歩く。
「手繋ぐ?」と隣を歩くおじさんが手を出してくる、「繋ぎません。」と断固拒否。
「あっそっ」とクスリと笑って、歩みを早くしようとする。
この鬼っ!誰が繋ぐもんか!いいわよ、置いて行きなさいよ!
あんな事されて…と昼間の変なでき事を思い出し顔が再び熱を帯びてくる。
いやーーあ。抹消!抹消!と心で叫ぶ。
「おもしろっ。」と隣に戻って来た、おじさんがニヤニヤしてくる。
あー嫌い。この大人はやっぱり嫌い。
ふと何かを思い出したように、歩みを緩めながら、面白そうな目で隣のおじさんが口を開く、
「ねえ、そういえば、なんでタカアシガニが嫌いなの?」
と、ああ、それね。それ。どうせ、馬鹿にされるだろうなと、訳を話す、
「なんか大きな蜘蛛に似てて苦手なんです。特にあのタカアシガニは、夏場実家に出る手足の長い大きなヤツとダブって、小さい時はそんなの意識してなかったんですけど、大人になるにつれ、だんだんと同じように見えてきて苦手に…。タカアシガニに罪はないんですがね。」
「へぇー。じゃあ、食べるのもダメ?」
「いや、そこは大丈夫です!あっでも、大きな蟹を茹でるのは苦手です。特に足閉じて裏返した姿を目にするとゾワッゾワっとはします。」
ヒールにしなかったのは正解だな。
それにしても、この男はなんでそんなに足取りが軽やかなんだ。
疲れも感じさせない。
確か、私より九つは上のはず。
おじさんだよね?おじさんに負けてどうする!と自分を励ましながら、家路を歩く。
「手繋ぐ?」と隣を歩くおじさんが手を出してくる、「繋ぎません。」と断固拒否。
「あっそっ」とクスリと笑って、歩みを早くしようとする。
この鬼っ!誰が繋ぐもんか!いいわよ、置いて行きなさいよ!
あんな事されて…と昼間の変なでき事を思い出し顔が再び熱を帯びてくる。
いやーーあ。抹消!抹消!と心で叫ぶ。
「おもしろっ。」と隣に戻って来た、おじさんがニヤニヤしてくる。
あー嫌い。この大人はやっぱり嫌い。
ふと何かを思い出したように、歩みを緩めながら、面白そうな目で隣のおじさんが口を開く、
「ねえ、そういえば、なんでタカアシガニが嫌いなの?」
と、ああ、それね。それ。どうせ、馬鹿にされるだろうなと、訳を話す、
「なんか大きな蜘蛛に似てて苦手なんです。特にあのタカアシガニは、夏場実家に出る手足の長い大きなヤツとダブって、小さい時はそんなの意識してなかったんですけど、大人になるにつれ、だんだんと同じように見えてきて苦手に…。タカアシガニに罪はないんですがね。」
「へぇー。じゃあ、食べるのもダメ?」
「いや、そこは大丈夫です!あっでも、大きな蟹を茹でるのは苦手です。特に足閉じて裏返した姿を目にするとゾワッゾワっとはします。」