一円玉の恋
そして、ま、まだ若干の震えを残しながら、「わ、私、ここに住みたいです。」と山神崇に伝えた。間髪いれずに「却下!」と即答される。
「なんでですか?私が決める事です!」と訴えても「却下!」と破棄される。
「どうして!」と理由を聞けば、

「危機意識が低いから。いざとなっても抵抗出来ないから。今もいいようにされてたじゃん。」

と畳み掛けられる。それでも、

「それは、山神さんが不意打ちで…」

と言葉を出すが、

「俺が本気なら、呆気なく翠ちゃんはバージン喪失だね。」

とまたとんでもない事をサラッと言ってくる。

「なっなっなっんで、分かるんですか!バ、バージンだって。」

ほんとに勘弁してほしい。なんでわかんのよ!

「そりゃ見てれば、分かるよ。」

と山神崇はしたり顔だ。杏子さんも何度も頷く。えっ!そんなに分かるもん?だがしかしだ、

「でも、それと、これとは関係ないです!」

と言い切ると、

「へーじゃあ、どっかのキモい男に襲われて、乱暴されて、バージン奪われて、最悪の結果になっても平気なんだ。」

とまた平気でとんでもない事を並べ立ててくる。それには、

「それは…。」

と何も言葉が出て来ない。

「無いって言い切れるの?」

ううっ…。

そんな私の様子を見計らって、やけに真面目に説得力のあるいい声で、

「俺は悪いけど危惧してるよ。気まぐれに拾った女の子でも、一緒に居ればそれなりに情だって湧く、翠ちゃんの親程ではないけど、心配だってするよ。出て行く時はそれなりに安心して俺の元を出て行かせたいけどね。だから、今は安心出来ない。
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