一円玉の恋

まっこっちも。最初は飽きるまで、なんていい加減な事を言ったから、反省はするけど。とにかく部屋は翠ちゃんの経済的な事も考慮して探してあげるから、それまでは引っ越し禁止ね。それに、俺が渡してるお給料分まだ働いてないよね？という事でこの話はナシね。」

と山神崇にしては珍しく真剣な眼差しで私に向かって言ってくる。

「うっ」もう二の句も言えない。
でも、分かりました。とも言いたくない。
そんな様子を見て杏子さんが、

「はい、翠ちゃんの負けぇー。悔しいけど、今回はこの下半身馬鹿の勝ちね。残念。儲けそこなったわ。」

と、笑って話す。

「じゃあ、この男に責任持って、いい部屋探してもらいなさいよ。ね！でも、私は翠ちゃんならいつでも大歓迎だからねー。」

と、ぎゅーと抱きついて来た。なんかいい香りがする。
こんな綺麗な女性に抱きしめてもらうなんて、なかなか無いからなんかドキドキする。
柔らかい。気持ちいい。と夢見ごこちになっていると、
「触るな」と山神崇に剥がされてしまった。

そんな様子を見て私は、ああ、なんか気づいてしまった！
そうか！山神さんの本命は杏子さんなんだと、私が杏子さんの体を堪能しているから、ヤキモチを妬いたんだと納得した。
もしかして、私がここに住むのが嫌なのも、杏子さんを取られると思ってだろうか、仲良くしている相手が女性でも嫉妬するというのは、それ程、杏子さんの事が好きなんだ。
回りくどい奴め、と思考が巡り出した。

話しの決着も不本意ながら着き、「そうだ、せっかくなんだし。下で御飯でも食べて行きなさいよ。」と、杏子さんのお店で御飯を頂く事になった。
やったーーぁと喜ぶ私を見て杏子さんが、「もう、翠ちゃん可愛い！」とハグしてくれる、それをまた山神さんが引き剥がす。
くそぅ。と恨めしそうに杏子さんと二人で山神さんの顔を見ると、「何？なんか文句あるの？」と言ってくる。