一円玉の恋
「翠ちゃん、俺先に入っとくから、用意出来たらきてね。」

と部屋に戻って来た早々、山神さんはサッと用意して露天風呂の方に行ってしまった。
渋々ながら、「はーい。」と返事をして、逃げれないものかと思案する。

一応ジャージに着替えて、うーん気が重い。
なんてうずくまって、考えていると、頭上から「何やってんの?のぼせさせる気?いいから、おいで。」と腰にバスタオルを巻いた半裸の男に強引に湯殿に連行された。

「やーーぁ、無理無理無理。山神さん、はだか。はだかー。いやーー。バスタオル取らないで。えーーん、お嫁に行けないー。」

と泣き叫ぶ。

「大丈夫、もらってあげるから。」

え?なにを?とどこかから声がした気がした。

「ほら、早く洗って。」

と背中をむける山神さんに、覚悟を決めて近づく、なんだあ、腰にはタオルが巻いてあったのね。と確認して、渡された手ぬぐいを泡だてて、背中を洗う。

大きな背中だな。
山神さんて、肌も白くて綺麗なんだよなぁ。
女の人より綺麗かも。いいなぁ。
スベスベしてる。
何てちょっとスケベな目で見てしまう。

「なに、手ぇ止めてんの?なんかエロい事でも、想像した?」

と振り返り、手ぬぐいを持った腕を取られて「はい!ここも洗ってね」とそのまま手を重ねられ、背中越しに胸板を洗わされた。
おかげでジャージが泡だらけだ。
どんな拷問だ!
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